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建設業従事者のアスベスト被害者の早期救済・解決を求める意見書

[2018年5月7日]

建設業従事者のアスベスト被害者の早期救済・解決を

 アスベストを大量に使用したことによるアスベスト(石綿)被害は、多くの労働者に広がっている。現在でも、建物の改修・解体に伴い、アスベストの飛散は起こり、労働者や住民に被害が広がる現在進行形の公害となっている。また東日本大震災で発生した大量のがれき処理についても被害の拡大が心配されている。

 欧米諸国で製造業の従事者に多くの被害が出ているのに比べ、日本では、建設業従事者に最大の被害者が生まれていることが特徴である。これは、輸入された石綿の80パーセントから90パーセントが建設資材に使用され、日本では建築基準法等で不燃化、耐火工法として石綿の使用を進めてきたことに大きな原因がある。

 建設業は、重層下請構造や多くの現場に従事することから、労災認定にも多くの困難が伴い、認定されないことが多々あるほか、多くの製造業で支給されている企業独自の上乗せ補償も充実していないことが実態である。

 国は平成18年に「石綿による健康被害の救済に関する法律」を成立させ、その後も医療費・療養手当の支給対象期間の拡大等の改正を行っているが、補償内容としては不十分なもので、被害者及びその遺族の生活も含めた補償の充実や救済基金の拡充など、制度の抜本改正を求める声があがっている。石綿による疾病は、30年から40年という長期間経過したのち発症することが多く、亡くなってから労働災害が認定される事例や、医学的認定基準を満たさず、労働災害の認定に結びつかない事例がある。平成24年の東京地裁判決、平成26年の福岡地裁判決、平成28年の大阪地裁判決、京都地裁判決では、一人親方に対して国の責任を認めなかったものの、いずれも労働者に対して国の責任を一部認め、平成29年の札幌地裁判決、横浜地裁判決、そして東京最高裁判決では、いずれも国の責任を認め、京都判決、横浜地裁判決、東京最高裁判決では、建材メーカーの責任を認めるものとなった。

 被害者の苦しみは今なお続いており、早期に労働災害が認定されることは、発症した建設業従事者にとって大きな支えとなるものである。また、多くの被害者が発生している建設業従事者に対する救済が図られることで、すべてのアスベスト被害者に対する問題解決に波及するものと考える。ついては国におかれては、建設業従事者におけるアスベスト被害者と遺族が生活できる救済の実施とアスベスト被害の拡大を根絶する対策を直ちにとり、アスベスト問題の早期解決を図るよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 平成30年 3月16日

 

              

 

提出先

 

衆議院議長   大島理森 殿   

参議院議長   伊達忠一 殿   

内閣総理大臣  安倍晋三 殿   

厚生労働大臣  加藤勝信 殿   

国土交通大臣  石井啓一 殿   

環境大臣    中川雅治 殿


                                京都府相楽郡笠置町議会議長  杉岡義信

  

 


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